【兆し 第2回】延長線上にない変化の実現に向けて ~Niterra 日本特殊陶業~
突然ですが、みなさんは「Niterra(ニテラ)」という言葉は聞いたことがあるでしょうか?実は日本特殊陶業が2023年4月から新たに採用した英文の社名が「Niterra(ニテラ)」なんです。
Niterraは、ラテン語の2つの言葉「niteo(ニテオ)」=「輝く」という意味と「terra(テラ)」=「地球」を表す言葉を組み合わせた造語になります。つまり、Niterraは「輝く地球」という意味が込められているんです。日本特殊陶業は、この新しい英文社名に「持続可能な社会への貢献はもちろん、地球環境全体を輝かせる企業になりたい」という想いを込めたそうです。
今回は、名古屋市にあります日本特殊陶業株式会社の人財開発部 企画課 課長の伊藤 祥一郎さん(写真右)、同部 人財育成課 課長の西本 奈美子さん(写真左)に人的資本投資の取り組みについてお話を伺いました。
1.御社のおしごと、教えてください。
――― どんなおしごとをされていますか。
弊社は1936年に創業しました。自動車部品、半導体関連部品、医療機器、産業用セラミック部品など幅広い分野で利用される製品を提供しており、創業以来、セラミックス技術を核として、より良い社会の実現に貢献しています。
実は私たちの生活にも密接に関わっていて、主力製品のスパークプラグは世界シェアNo.1を誇り、多くの自動車メーカーに提供しています。その他にも排気ガスセンサや半導体パッケージ部品、半導体製造装置用製品など、自動車や半導体分野をはじめ、多くの分野で欠かせない製品を製造しています。
――― 新規事業にも積極的にチャレンジされているとお伺いしましたが?
環境・エネルギー、次世代モビリティ、医療、情報通信といった分野を中心に新規事業を展開しています。
自動車産業が大きな変革期を迎え、EVシフトが進む中で、従来の内燃機関関連製品だけでなく、新規事業に挑戦していく必要性を認識しており、事業ポートフォリオの転換を図っています。また、持続可能な社会の実現に向けて、社会的価値を高める革新的な事業に挑戦し、より良い社会を築くことを目指しています。
2.自律的なキャリア形成の実現に向けて
―――「自律創造人財」の育成に注力していると伺いましたが、どういった理由からでしょうか?
事業ポートフォリオの転換に伴い、新たなスキルや事業環境の変化への適応力、イノベーション促進能力などを持つ人財が必要だと考えています。ここ数年、人的資本投資の重要性が取り上げられることが多くなっています。弊社は、社員は「人財(人は財産)」であると捉えて、人を大切にした経営に取り組んでいます。
――― 具体的にはどのような取り組みをしていますか?
従業員の主体的なキャリア開発を支援する仕組みとして「キャリアデザインサイクル」を導入しています。WILL(志・意思)、CAN(スキル・能力)、MUST(果たすべき役割)の3つの要素で構成されており、従業員自身が実現したいことを考え、必要なスキルを確認し、期待される役割との整合を図るといったサイクルを回すことで自身のキャリアを主体的にデザインし、継続的な成長を促す仕組みになっています。
このほか、新卒3年目社員を対象に「3年目フォローアップ研修」を実施しています。入社時に設定した目標を達成したか、業務や研修を通じて振り返るとともに、将来のキャリアを考え、現状とのギャップを認識し、その差を埋めるために今後どのように行動するのかなど、自身のキャリアを考える機会を提供しています。今の若者は、周囲と比較したり、早期の自己成長を求める傾向がありますので、若手社員が集まって、日々の振り返りや自分たちの今後のキャリアを考える機会は非常に有用だと感じます。
3.職場参観を開催~従業員のエンゲージメント向上を期待して~
――― 「職場参観」を行っていると伺いましたが、目的について教えてください。
2022年から従業員の家族を招いて「Niterraグループ職場参観」を開催しています。このイベントは、家族が働く会社・事業を知る機会を提供して、相互理解を深め、従業員のエンゲージメント向上につなげることを目的しています。
――― 会社や事業を知るためにどのようなイベントを行っていますか?
直近では2024年11月に弊社小牧工場で開催し、お子さんを含む98名が参加しました。スパークプラグの工場見学やセラミックスへの絵付け体験、カーボンニュートラルへの取り組み紹介など実施し、会社や事業への理解を深めていただきました。
<職場参観紹介ページ>
https://www.ngkntk.co.jp/news/detail/002862.html
――― 参加者のみなさんの反応はいかがでしたか。
「親の仕事を知って、自分の将来の仕事について考えるきっかけになった」や、「仕事体験ができて楽しかった。おいしいご飯を食べて働けていいな。」といった好評な声をいただきました。会社の取組や事業への理解と、会社と従業員間のコミュニケーション創出につながる施策を今後も実施していきます。
――― 家族の理解と支援があれば、仕事も頑張れますね。とても素敵な取組で参考になります。
4.未来社会ショーケース事業・フューチャーライフ万博「未来の都市」へ協賛
――― 2025年に開催される大阪・関西万博に協賛すると伺いましたが?
弊社は未来社会ショーケース事業・フューチャーライフ万博「未来の都市」のシルバーパートナーとして参加することになっております。
展示テーマは、「水と空気のチカラで、地球の未来を輝かせる」となっており、持続可能な循環社会を表現する「CyclusNiterrium(サイクラスニテリウム)」という水と空気の循環システムを紹介します。さらに最新技術を搭載した装置により、循環技術を宿した生命体「ニテオン」と実際に触れあうことができ、みなさんをニテオンが活躍する未来の世界の冒険(バーチャルルーム)へ招待します。
自律可搬型の循環技術やバーチャル体験を通じて、持続可能なエネルギーや資源を届け、誰もが輝く未来を享受できる、そんなより良い社会の実現に寄与する事業に今後も取り組んでいきます。
――― 大阪・関西万博は、自社の技術や発想を世界に発信する絶好の機会で、わたしも早く未来の技術に触れられる日を楽しみにしています!
5.社員(ヒト)は財産で最大の経営資源。多様な個性を持つ人財とともに共生する企業を目指す。
――― 人的資本投資の今後の展望などを教えてください。
企業理念や価値観を各事業や業務単位で、具体的な戦略や行動目標に変換する取組みを積極的に行っております。今後は個人レベルで、いかにビジョンを理解し、自分の役割がどのように関与しているか認識を高め、ビジョンを「自分ごと」として捉えて実践できるかがキーポイントになると考えています。特に製造部門は、裾野が広いがために浸透度が低く、まだ道半ばの状況です。
ただし、デジタル人材の育成においては、研修への主体的な参加が増加するなど、徐々に成果も出ており、成長意欲を維持する仕組みや職場全体でフォローを継続していくことが重要になります。
長期経営計画に掲げた「これまでの延長線上にない変化」を実現するため、社員が一層活躍する機会や育成環境を提供するとともに、能力を最大限に引き出すための組織風土醸成に引き続き取り組んでいきます。「志を持った多様な人財とともに共生する企業」を目指して、私たちの挑戦は続きます。
~ ★ ★ 企 業 情 報 ★ ★ ~
会社名:日本特殊陶業株式会社
代 表:代表取締役 取締役社長 社長執行役員 川合 尊
所在地:愛知県名古屋市東区東桜一丁目1番1号 アーバンネット名古屋ネクスタビル
企業HP:https://www.ngkntk.co.jp/