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【きらり★vol.6】自動車の電動化?うちは大歓迎です! ~志水製作所 代表取締役 志水 義幸さん~

 100年に一度の大変革期と呼ばれている自動車業界。電動化やデジタル化などの変化に合わせて、自動車以外の分野に進出する動きもみられます。そんな中で自動車部品一筋、とことん追求している企業もあります!
 今回は、愛知県一宮市にあります志水製作所 代表取締役の志水義幸さんにお話を伺いました。

このマガジンでは、中部地域で奮闘されている企業を「きらり企業」と題してご紹介します。オンリーワンの技術や、社内でのオドロキな取組みなど、力強く ☆彡きらり☆彡 輝いているみなさんに是非ご注目ください!!



1.御社のお仕事、教えてください。

――― どんなお仕事をされていますか。

 わが社は1963年に先代の父が創業しました。元々は繊維業から始め、その後、自動車部品に参入し、今ではほぼ100%、自動車向けの精密プレス部品及び金型の仕事をしています。
 私自身は大学を卒業して金型の製作会社で5年ほど修業した後、27歳の時に入社しました。金型の会社で得た技術を社内に還元し、それが現在の事業の柱のひとつになっています。その後、社長である父に代わり営業活動全般を取り仕切るようになり、1社頼りになっていた取引先の拡大を進めて、42歳の時に父から会社を引き継ぎました。

 これまで自動車部品に特化して企業を大きくして来ましたので、今後も他業界に事業を拡大するつもりはないですね。ある経営者から「専門分野に注力して掘り下げた方が良い」と教わったので、その教えを大事にしています。

自動車向けの部品と金型一筋です!

 当社の主力製品は主に「パワーウインドウスイッチ部品」、「排気ガスのセンサ」、「バスバー(電流を導電する電極)」です。パワーウインドウスイッチ部品はドアガラス開閉のスイッチになります。

 特にバスバーは、車のPCU(パワーコントロールユニット)に使われており、電動化が進む自動車において重要度がどんどん高くなっています。
 自動車部品は軽量化した方がよいというイメージがあるかもしれませんが、バスバーは逆で、電流を多く流したいためにバスバー部品が厚く大きくなっています。
 こういった個々の部品のニーズに合った製品開発と電動化の進展で、売上は10年で倍になりました!

自動車の電動化に欠かせないバスバー

――― 売上が倍とはすごいですね!御社の強みは何だとお考えですか。

 わが社の強みとして、試作部門を持っているところではないでしょうか。大企業ではあっても、この規模で試作部門を専門で置いている企業はめずらしいと思います。自社で試作することで「ここをこう改善したらもっとコストを抑えて提供できるな」といった検討が試作段階でスピーディにできます。そういった検討を十分にしたあと、試作から量産までのワンストップ・サービスを実現しています。

熟練の技術で、自動車の生産を支えています

2.受付に多くの賞状が飾られていますね!

――― どういった賞を受けられているのでしょうか。

 ありがたいことに、国や自治体などから多くの賞や認定をいただいています。わが社に就職してくださる学生さんたちへの認知度向上・アピールにもなりますし、親御さんにも安心してもらえる材料の一つになると思うので、嬉しい限りです。

 特に、愛知県から「愛知ブランド企業(※1)」、厚生労働省から「ユースエール(※2)」の認定をいただけたことが嬉しいですね。中でもユースエールは、認定された企業限定の就職説明会に参加できたり、いわゆる’ホワイト企業’の証とも言えるので、人材確保の面でとても効果がありました。

※1愛知ブランド企業・・・愛知県内の製造業の実力を広く国内外にアピールし、世界的ブランドへと知名度の向上を図るため、県内の優れたモノづくり企業を認定する制度
※2ユースエール・・・若者の採用・育成に積極的で、若者の雇用管理の状況などが優良な中小企業を厚生労働大臣が認定する制度

 「愛知ブランド企業」の認定が人材確保にすごく有益だったので、他の公的な認定も探しました。
 そしてたどり着いたのが経済産業省の認定事業で、平成30年の「地域未来牽引企業」の選定を皮切りに、令和元年に「事業継続力強化計画」の認定を受け、令和2年には「新グローバルニッチトップ企業100選」に選定されました。直近では愛知県中小企業団体中央会の推薦を受けて、令和6年に、2024
はばたく中小企業・小規模事業者300社に選定していただきました。

認定コレクションと言ってもいいぐらい。壮観です

3.当局との関わり、教えてください!

―――当局とのなれそめも含めて、関わりを教えてください。

 局の職員の方に平成28年頃「中小企業等経営強化法の経営力向上計画」を教えていただき、チャレンジしたところ認定され、新規で購入した設備を即時償却(※)することができました。それからは経済産業省や局のメールマガジンを拝見するようになり、使える補助金や税制はないかな、と探しています。
 2022年には電動車向けの大型バスバーを製造するための設備を導入するため、「事業再構築補助金」を申請し採択されました。多くの補助金や税制を活用させていただいて、とても助かっています。

※即時償却・・・前倒しで経費の全額を計上すること。それにより、当該年度の利益が減少し、法人税の課税対象所得を押さえることができるというメリットがある。
 
 中部経済産業局、職員の方にはすごく助けられています。末永く良い関係を続けられたらなと、強く願っています。

4.人財、大事にしてます。

―――御社では週に1回ブログを更新していますね。
 
 そうなんです。「他社がやっていて良いらしいからうちでも導入したい」という従業員の声を受けて2020年から始めました。内容は社員の日常を綴ったものが多いですが、他社の方から「ブログ見たよ」と言われたり、何より従業員同士のコミュニケーションが活発になりましたね。

―――採用状況はどうですか?

 高校生を中心に新卒の採用を行っていますが、やはり少子化の影響か、ここ1、2年は新卒採用は苦労しています。中途採用は都度行っていて、入社してくれた従業員の定着率は高いです。業務内容を事前に詳細に説明し、入社後のミスマッチを防ぐ取り組みをしています。
 今のところ人手不足は感じていないですが、やはりみんな年をとっていくので、今のうちに人材を確保しておきたい気持ちはありますね。中途なのか実習生なのか、形は決まってませんが、今後も積極的に採用を続けていきたいです。

若手の「人財」、活躍しています

―――従業員との面白いお話は何かありますか?

 毎年、「品質勉強会」と言う名前の忘年会(笑)を開催しています。全く参加を強制していないんですが、従業員の9割以上が集まります。
 以前は参加者を楽しませるために、役職のある人たちで仮装をしたりして盛り上げていました。ですが、最近会を開催しているビルに仮装を止められてしまい・・・(笑)。今では内容を変更してマジシャンを呼んだり、ピエロを呼んだりして、楽しい時間を過ごしています。

以前の品質勉強会の様子。仮装が復活する日が待ち遠しいです。

5.これからも、きらり、かがやくために

―――御社にとっての かがやく、’きらり’はなんでしょうか。

 わが社にとっての’きらり’は、基本理念のとおり「技術立社と人間力向上」です。特に、「人間力向上」をすごく大事にしています。あいさつをすること、整理整頓を常に意識すること、相手に喜んでもらうこと。この3つの基本を忠実に徹底することが企業の価値向上に貢献すると考えて、日々取り組んでいます。

~ ★ ★ 企 業 情 報 ★ ★ ~

★志水製作所ウェブサイト 

~~~ 会社情報 ~~~
会社名:株式会社志水製作所
代 表:代表取締役 志水 義幸
所在地:愛知県一宮市明地字南古城5番地1

== 編集後記 ==
 
工場見学の中で、若い社員の方に元気よく「こんにちは!」とごあいさついただき、社の理念とされている「人間力向上」が浸透されていることを実感いたしました。
 
自動車部品一筋という”がんこ”な側面と、品質勉強会で役員の皆さんが仮装されていたという”やわらか”な側面が共存する社風が魅力的ですね。今後のさらなる躍進を期待しております。

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