【きらり★vol.2】(ボールではなく)微生物は友だちです。 ~ フレンドマイクローブ 代表取締役社長 蟹江 純一さん ~
みなさんのそばにいるけれども、意識することはほとんどなく、密かに動いている働きもの。その名は、「微生物」。
今回は、名古屋市にありますフレンドマイクローブ 代表取締役社長の蟹江純一さんにお話を伺いました。(ちなみに学生時代はサッカー部ではなく、バレーボール部とのことです)
1.御社のお仕事、教えてください
――― どんなおしごと、されていますか。
弊社は2017年に誕生した名古屋大学発のバイオベンチャー企業です。現会長である名古屋大学の堀克敏教授が、微生物研究で開発した成果を事業として社会に広く実装したい、という目的で創業しました。
私自身は堀教授のもとで学生として所属していたところ、「ゆくゆくは代表になってもらいたい」と入社のお誘いをいただきました。
実は大手企業から就職の内々定をもらっていたのですが、「結果が分かっている研究はおもしろくない!」と考える質だったので、「将来が分からないスタートアップの方がおもしろそう!」と思い、第一号社員として入社することになりました(笑)。その後、2021年に社長に就任して今に至ります。
社名は日本語で、”微生物を友だちに”という意味です。身近な存在である微生物を友だちにして、環境にまつわる社会問題を解決しようというポリシーを掲げています。
主な事業は大きく分けて、「油分解事業」と「受託研究事業」の2つです。
1つ目の油分解事業は、その名のとおり「工場などから排出される排水中の油を、微生物で分解処理する」ものです。微生物の力で油を分解・消滅させて、油由来の産業廃棄物の発生を無くし、処理コストの削減を図ることが可能となります。
もう1つの受託研究事業は、「企業が抱える問題を微生物の力を借りて解決する共同研究を行う」ものです。また、微生物を利用した新しいビジネスを展開する研究依頼もお受けしています。研究は弊社に加えて名古屋大学にも協力してもらい、3者で効率的に行います。
2.「工場の排水中の廃油」+「微生物」=コスト削減!?
――― 微生物となかよくなると、廃油をなんとかしてくれるんですね。
そうですね、おおよそ正解です(笑)。でもせっかくなので、もう少し詳しくお話させてください。
弊社の技術の結晶である油分解処理システム「Mbisys(マビシス)」のポイントを3つあげるとこんな感じになります。
1.どんな動植物の油も分解可能。しかも分解速度が他製品の10倍速い!
2.国家プロジェクトで開発した、微生物の力を最大限発揮する装置!
3.設置もカンタン。少ない設備で運用可能!
すでに大手食品メーカーに導入され、「数年使用しているが良好」とうれしい評価をいただきました。また、日本だけでなく世界中から関心が寄せられていて、海外展開も視野に入れています。
これからのお話になりますが、食用油のノウハウを活かして、主に製造業で排出される鉱物油の分解事業を展開したいです。食用油と比べて分解が難しかったり、環境への負荷が高かったりとハードルが多いですが、市場規模は比べられないくらい大きく、チャンスも大きいのでチャレンジしていきたいです。
3.多くの支援事業の採択&受賞、おめでとうございます!
――― 取組みの成果が、支援事業の採択や受賞に繋がっていますね。
ありがたいことに、たくさんのご縁をいただいてうれしい限りです。
経済産業局からも「CNBベンチャー大賞 中部経済産業局長賞」を受賞しました。その後も支援事業や賞への応募など、多くの情報をいただきまして、自分にとっては「話してみないと何をしてくれるかよくわからない組織だが、今では頼れる存在」です。
そういえば、ご講演の依頼をいただいた時は入院していましたね(笑)。
【主なプロジェクト採択・受賞の一覧】
・「Aichi Deeptech Launchpad アクセラレーションプログラム」
(研究開発費あり)採択
・ J-Startup Central (第4期)採択
・ CNBベンチャー大賞2022 中部経済産業局長賞
・ FASTAR 5th DEMODAY みらい創造機構賞
★ MUFG ICJ ESGアクセラレーター2023 大賞受賞動画
(YouTube公式チャンネル)
4.お腹が破裂しそうになったと伺いました・・
――― 救急車で運ばれて、大変な思いをされたとか。
お腹が痛くて眠れないなぁ、胃腸風邪かなぁと思ったら、盲腸炎で腹膜炎も併発している容態でした。即手術で2週間くらい入院して、多くの方にご迷惑をおかけしてしまい・・。健康の大切さを実感しました。
学生結婚した妻や2人の子供たちにも心配をかけたと思います。家族大好き人間なので、忙しいスタートアップの社長ではありますが、週末は家族との時間を大切にしています。
余談ですが、「必要ない臓器」と思われていた盲腸には腸内環境のリカバリー機能があるそうで。切ってしまったので体調にはより気を使わないと、と思いました(笑)。
5.これからも、きらり、かがやくために
――― 御社にとっての かがやく、’きらり’はなんでしょうか。
「微生物」と言いたいところですが、今のわが社にとっての大切な’きらり’は「社員のみんな」ですね。社全体では11名ほどが在籍しているのですが、会社にとって大事な時期にこんなに頼れるいいメンバーに恵まれてよかった、と心から思います。
微生物は環境を整えないとうまく働いてくれません。同じように、社員のみんなも働く環境が整っていないと良い成果が出せないと思います。改めて社長として、「微生物も社員も働きやすい会社」を目指してがんばりたいです。
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~~~ 会社情報 ~~~
会社名:株式会社フレンドマイクローブ
(英語表記名:Friend Microbe inc.)
代 表:代表取締役社長 蟹江 純一
所在地:名古屋市千種区千種二丁目22番8号
名古屋医工連携インキュベータ104
企業HP:https://friendmicrobe.co.jp/