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【きらり★vol.5】ロケットの技術力で ”動く家” つくっちゃいました ~ テックササキ ~

 2024年11月4日(火) 午後3時48分、鹿児島にあります種子島宇宙センターから、防衛通信衛星を載せたH3ロケット4号機が、無事打ち上げられました。
 高い技術力を結集してつくり上げられる宇宙ロケット。今回はその技術で”動く家”をつくり上げた、名古屋市にありますテックササキのみなさんにお話を伺いました。

このマガジンでは、中部地域で奮闘されている企業を「きらり企業」と題してご紹介します。オンリーワンの技術や、社内でのオドロキな取組みなど、力強く ☆彡きらり☆彡 輝いているみなさんに是非ご注目ください!!



1.御社のお仕事、教えてください

――― どんなお仕事、されていますか。

 我が社は1945年に設立されました。主な事業としては、航空機事業(航空機構造組立、治工具の設計・製作、点検)、搬送設備事業(天井クレーン等の設計、製造、施工、メンテナンス)、汎用圧縮機事業(コンプレッサの販売・メンテナンス)、産業設備事業(空調設備、給排水衛生設備の企画・設計 等)の4分野になります。

 従来からの主力は、工場などで使われる天井クレーンの設計や製造です。創業当初から70年あまり、高度経済成長期だった日本の産業を陰ながら支えてきたと自負しております。企画から設計・製造・施⼯・メンテナンス・点検まで、「世界にひとつだけのクレーン」をつくることができるのが自慢です。

クレーンのゆりかごから墓場まで、お世話いたします

2.人にしかできない、究極のモノづくり

 ――― 航空機やロケットに関わるお仕事について、教えてください。

 平成元年ごろから航空機の組立や治工具の設計・制作のお仕事を始めました。航空機部品メーカーの大手である三菱重⼯業株式会社のパートナー企業として、アメリカ ボーイング社の⼤型旅客機やカナダ ボンバルディア社の⼩型旅客機、⾃衛隊機やヘリコプター、国産ロケット等の構造組⽴を⾏っています。

 航空機やロケットは事故が⼈命に直結するため、製造している現場では100分の1mm単位の精度が求められます。他社に先駆けてこの分野に参入して今年で35年、培った経験と実績が我が社の強みです。

夢と技術の結晶が、宇宙に羽ばたきます

3.コロナ禍で売上が・・・ ➡ トレーラーハウスをつくろう!

 ――― ”動く家”をつくることになったいきさつを教えてください。

 2020年ごろからのコロナ禍の影響で、海外旅行の需要が激減したことから、航空機に関わるお仕事が大きく減ってしまいました。
 また、2023年2月に、国産の小型ジェット旅客機「三菱スペースジェット(MSJ、旧MRJ)」の開発中止が発表されたことから、自社で新しい仕事をはじめよう!と一念発起したのがきっかけでした。

 社内でさまざまな案が出たのですが、「航空機やロケットの技術を活用できること」、「需要が期待できる市場であること」、そして「自社で最初から最後までつくりあげることができること」などの条件をクリアする、アルミ製トレーラーハウス『GLOBER(グローバー)』を開発することにしました。

アルミの削り出しのような、高級感が漂います

 名前の由来は、地球の美しい形を表す「GLOBE」と、滑らかで美しい曲線を表すアルファベット「R」から来ています。また、"ローバー " という読みには探索者という意味もあります。

 GLOBERを開発するに当たって、綿密な市場調査も行いました。アウトドアブームもあって、トレーラーハウスの関心が高まっていること、また、既存のトレーラーハウスは海外製のものが多く、日本国内ではほぼ生産されていないことがわかりました。
 併せて行ったユーザー目線での調査では、「日本製」に安心を感じること、自宅のようにくつろげる空間を求めること、そして、万一の際のアフターサービスが適切に受けられるかを心配していることがわかりました。
 そこで、これまで航空機やロケットの製造で培ったミリ単位の精度技術を用いて、長く使える高品質な純国産のトレーラーにこだわりました。

 ロケットのような堅牢なつくりを目指して、アルミ素材をリベット(鋲)で結合し、継ぎ目には航空機でも用いられる気密性を高める加工も施されています。流線形のデザインは、航空機産業に携わる我が社ならではの特徴です。

中に入ると 無垢材の上品なインテリアがお迎えします

 ヒノキの無垢材を使用し、外観と同じように曲線を意識した家具を設置するなど、インテリアにも随所にこだわりがあります。また、ご要望に応じて家具やキッチンなどのカスタマイズや、キッチンカーや移動販売車などの業務用にも使用することが可能です。

 お値段は自由度の高い「フリーデザイン」は1,200万円から、家具が設置されている「キャンピング」は1,800万円からご提供しております。

「フリーデザイン」で、自分だけのオリジナルトレーラーにカスタマイズも

4.当局の支援、お役に立てているでしょうか?

 ――― 当局とのお付き合いについて教えてください。

 航空機事業が活況でした2017年ごろは若手を中心とした人材育成について、逆に2020年のMSJ計画凍結やコロナ禍で設備や人員が余剰になった際には、経営計画の再編や支援事業のご相談をさせてもらいました。また、雇用調整助成金など他省庁の支援情報も含めて幅広い情報を提供してもらえました。
 
 最近では2021年に行われた、事業再構築補助金の説明会でお世話になり、先述のトレーラーハウスの開発費用を申請しよう、という方針になりました。その際は外部のコンサルには頼らず、我が社の若手が自力で書類を作成して、無事採択されました。慣れない書類で四苦八苦しましたが、申請のノウハウを習得できたのは良い経験だったと思います。

申請書類と格闘する髙橋リーダー。お疲れさまです

 現在も定期的なヒアリングをお受けしており、経営の状況に合わせていろいろなご相談をさせてもらっています。今後はトレーラーハウスの意匠や商標のご相談もしたいです。

5.これからも、きらり、かがやくために

 ――― 御社にとっての かがやく、’きらり’はなんでしょうか。

 我が社にとってのきらりは「自らの手をつかったものづくり力」です。最近は多くの産業で、効率を重視した自動化や機械化が進んでいます。ですが冒頭にお話したとおり、ロケットや航空機の部品の多くは、いまだに人の手でつくっているのが実情です。

 時間や手間がかかりますが、やはり自分の手でつくった部品でつくられたロケットが宇宙に飛び立ったニュースを聞くと、うれしさもひとしおです。これからも、手づくりのものづくりを大切にしていきたいです。

インタビューにご対応いただいた、航空機事業部 事業部長の穴吹 憲一さん、同部 部長の松田 博之さん、同部 生産技術課 新規事業グループ リーダーの髙橋 克典 さん。ありがとうございました。

~ ★ ★企 業 情 報★ ★ ~

★テックササキ 航空機事業部 公式インスタグラム

URL:https://www.instagram.com/sskgp_aircraftdiv/

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(販売パートナーのSOREXのウェブサイトへ)

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~~~ 会社情報 ~~~
会社名:株式会社 テックササキ
代 表:代表取締役社長 佐々⽊ 博⼀
所在地:愛知県名古屋市熱田区神宮4-9-21
企業HP:https://ssk-gp.jp/tech-sasaki/

編集後記:
航空機事業での組立技術を活かし、トレーラーハウス製造という我々では思いもよらない事業へ挑戦されたことに驚きました。最新鋭の航空機仕様はますます新しくなる一方、手づくりのものづくりという一面も残っており、自分の手で作ったものが大空に羽ばたくところに、航空機の仕事の面白さを感じました。


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